EC売り上げ改善物語

EC再生請負人Vol.1~1年以内に売り上げを立て直せ~

悪いんだけど、すぐ来てもらえる?

2020年5月。
地元で初の新型コロナ陽性者が出た翌日だった。

実はさ、昨日コロナでたじゃん?それでな、今までの時点で、決まってた夏までの式が全部キャンセル。売り上げで言うと95%飛ばしたわ。。。
もうこれヤバいわ。。。
3か月も単かもしれない。。。

と、先輩。

当然先輩はうなだれ、どうにもならない感じだ。

先輩の会社は、もともとは九谷焼を中心とした陶器を販売するお店だが、ご時世柄陶器だけでは食っていけないため、冠婚葬祭で扱うギフトを手広く手掛けている。
今回なくなったと嘆いていたのは、結婚式の引き出物などのブライダルギフト。結婚式・披露宴自身を取りやめることで、当然その延長上にあったギフトについてもキャンセルとなったのだ。
残った5%は、名入れのギフトで、こればっかりは引き取ってもらわないといけないということで、5%だけ売り上げは残ったが当然0と考える方がいいものだ。

月商で数百万円にも上る売り上げがなくなり、パンダミックの状況ではこの需要がすぐに戻ってこないということ自身は我々でも容易に想像がつく。
筆舌に尽くしがたい苦悩を抱えた先輩であった。

お前に頼んでたコンサルタント契約、少し値引けないか?

今回呼ばれたのはこれについてだった。

私が依頼を受けていたのはECサイト部門の売上向上に関するコンサルタントだ。
普段であれば決して高額なコンサルタント料をいただいているわけではないのだが、今ここにきて売り上げがほとんどなくなってしまった状況となると、それはそれは大きな負担であろう。
なので、今回は事後、成果が出てから報酬をいただくので大丈夫ということにして、一旦は固定金額のコンサルタント契約は終了とした。
今後は成果が出たら一定のマージンをいただく契約形態に切り替えることにした。

【利益をベースに、ネットでいくらの売り上げがあればブライダルで飛ばした売り上げを補てんできるのか?】

を、まずは聞いてみた。
ブライダルの売り上げについては、月にすると500万強ということなので年間で6000万程度、ECモールの手数料等を考えると1億クリアの売り上げが欲しいところだとのこと。
この時点でECの売り上げは月商で100万に満たない、70前後というところだ。

コンサルタントとしては、2年後あたりを目途に月商1000万を目指して、EC運営スキルの向上と売り上げ計画の立て方を中心に指導していた。
まだまだ、運営自身ができていない状況だったので売り上げを伸ばすためになにをやるかなどは基本的に私の方でやっていたタイミングだ。

現状の資金繰りやほかの仕事の売り上げの状況(こちらも当然コロナの影響で下がりつつある)を総合して勘案すると、このままだと1年は持たないだろうという状況だそうだ。

ということは売り上げの伸びの推移も考えると20年の年末に最低でもブライダル事業の月商500万円程度は達成したうえでその1年後、21年末には1000万程度を達成している流れであればギリギリ持つのかなという感じの計算だった。
またこの時点では20年のうちにパンデミックも収束し、多少はブライダル需要も戻っているだろうと考えていた。
なので、マイルストーンとして、20年12月500万、21年末1000万というざっくりとした売り上げ目標を立てた。

20年については、下がってしまった売り上げ自身をほかの事業で取り返すこととして、ECでの売り上げをブライダル事業並みに引き上げることを目標にした。
そして、21年はそれ以上の売り上げを目指すことで、仮にブライダル事業の需要が半分でも戻った場合、会社としてはさらなる売り上げ増につながると考えたからだ。

21年末の1000万目標については、早いか遅いかは賛否両論だろう。
私のコンサルティングの場合、私自身が出したアイディアやテクニックを使って売り上げを伸ばすというようなやり方ではなく、クライアントに基礎を叩き込み、長らくその売り上げを享受できる根本的な知識や技能を身に着けてもらうことに主眼を置いている。
こちらの先輩の場合、ここまでほかの事業の売り上げがあるのでECに対する取り組みはほんの少しで、売り上げがちょっとでも上がればそれだけ会社としては売り上げが増えたことになるので身が入っていなかった。
この時点で月商100万を超えたのは1度で、全ECモールあせて200万がMAXだ。それでもその200万あがったときは今までのジュライの売り上げにプラス200万円だからかなり大きかったようで相当喜んでいた。
私たちにしたら、200万なんていうのは通過点でしかなく、まだまだ初心者レベルの売り上げだと思っているのでここで慢心すると売り上げはまた下がるぞと、警告し続けていて、実際慢心してあまり手をかけなくなったところで平均月商70万というのがこのタイミングだった。
このように、ECのオーナー・店長の情熱1つで売り上げは伸びたり下がったり一進一退するのだ。
他の仕事が完全になくなったわけでもない当店舗については、少し時間を取りながら成長させようと考えた。
それでも本当の最初にコンサルティング契約を結んだ時の1000万到達は2022年末程度を予定していたのが1年前倒しになった。
なので、これでもペースは2倍程度になるのだ。

実際に私のこの計画を聞いた先輩は、

【今70のものが1年半後に1000って、、、相当頑張らんとダメじゃね?】と、ずっと言ってた。

ぼくは、

【ダメじゃない。やるんです。ダメじゃ無くすしか生き残る道はありませんから。やりますよ。】と、言い続けた。

腹を決めたと連絡があったのは私がこの会社を後にした1時間後だった。

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