面白い話

もめごと~ビジネスとプライベートが混同すると。。。~

先輩聞いてくださいよ!愚痴になりますけど、聞いてくださいよ!

と、電話がかかってきました。

よくあるトラブルですが、後輩はまだまだ若いので初めての経験だそうです。

トラブルに次ぐトラブル

HP制作会社を創業した後輩Kからの電話。
私はHP制作もやりますが、どちらかというとWEBサーバー・メールサーバーなどのサーバー保守・管理が主体の事業が中心なので、お互いに仕事を融通し合っていい関係を構築している。

今回、電話がかかってきたのは3か月ほど前に抱えていたトラブル案件についてのその後の話だった。

エンドユーザと代理店

その案件はその後輩Kの友人に当たる方のNさんが勤めている広告代理店が持ち込んできた案件だった。
話を聞くと、WEBの広告出稿に際して、現HP(ECサイト)は効率が悪くCVRも低いし、ユーザビリティ性が悪いので、作り直したいということで友人である私の後輩Kに持ち込まれた案件だった。
形としてはWEBサイト制作はNの会社が受けて、Kに外注を出すという形になるそうで、あいさつ程度に一度顔見せには行ったが基本的にはKはNを相手に話をし、Nが間に入りエンドユーザとKはやり取りをしている状態だった。
そんな中で、当初はEC-Cubeの導入で話が進んでいたらしいが、途中から、EC-Cubeで使えない決済会社の決済をどうしても使いたい、現サイトのいくつかの表現方法を移植してほしいという要望が入ってきた。
まず一つ目のクレカ決済について、APIもプラグインも存在していない決済会社の決済を導入するにはプラグインを自作するしかなく、EC-Cube導入費用より掛かってしまう可能性が出てきた。
また、いくつかの表現方法というものについて、現在利用しているあるレンタルカートシステムが商品の情報をAPIで提供していてその情報をプログラムで商品人気ランキングなどに落とし込んでいたものなのだが、そもそも、今回サイトを刷新したいという話の出発点がこのAPIが廃止されるため、どうにもならなくなりつつあるということに近づいのだ。

EC-Cubeであればいくつかのプラグインを入れることで人気ランキングみたいな表現はできますとKは回答したようだが、見た目が違うと突っぱねられたそう。
これは、イコール、カートシステムは変更するが今と全く同じデザイン、表現をしてほしいということにつながるので、Ec-Cubeのデザインテーマをフルスクラッチで作らなければいけなくなり、すでに予算オーバーであった。

Kは、友人であるNさんに対して、現予算では、大幅な予算オーバーです。
ネックはデザインを丸コピーして移植してほしいと言っていることと、クレカ決済であの会社をどうしても使ってほしいと言っている2点です。

また、今回EC-Cube導入の経緯に至る大きな理由の一つは販売ランキングが現状のままでは使えなくなることというのが大きな要因になっていますが、ランキングシステムを外してしまうか、もしくは別の方法でランキングシステムを入れるのか考えればデザインを修正することもなく、またカートシステムも変更しないので、今使っている業者をそのまま使えるのではないかと思いますし、ランキングシステムの作り直しの方が予算的にも抑えられるんじゃないかと思いますがいかがでしょう?
と、Nに伝えました。

Nは、この話は自分が決めることではなく、エンドユーザさんが決めることだから、一度話してきますね。
ということになった。

あくる日、Nは、エンドユーザにKが話したことをもっていったそうだ。

貰って来た回答は、【先方は提案を理解したようです。EC-Cubeに現レンタルカートを移植するって話ですね。了承しました】
と返ってきた。
まったく違うw
そんな話は1㎜も出てないw

再度Nに説明。

今できることはEC-Cubeでまったく今までと違うものを作るか、今のレンタルカートで止まってしまったシステムを外してしまうかのどちらかです。
Ec-Cubeで現予算のママなら、クレカ決済は使える業者の中から選んでほしいし、デザインも出来合いの物以上のデザインは難しいです。
現レンタルカートのママなら費用は抑えられますが、人気ランキングなどAPI連動していたものなどは外さざるを得ません。
なにせ僕は外注さんなので、Nさんの会社の下請けで仕事してるんです。エンドユーザさんに伝えるべき人はNさんだし、回答をもらってくるのもNさんなんですよ。
Nさんが僕の言っていることを理解してくれないと、先方に意図が伝わるわけもないし、先方の回答を理解して僕に伝えてくれないとエンドユーザの意向もわかんないんですよ?
その辺解ってますか?
と、Nさんに対してKが聞いたそうだ。
そうしたところ、Nさんは重々承知しているということだった。(私から見たらここが非常に怪しかったが。。。)

と。Nは、再度エンドユーザに再度話をしに行くことになった。
全部をとろうと思ってもまずは時間がなさ過ぎて難しいと。現状での問題は近々停止が決まっているAPIを利用したランキングシステムなど。これらを一旦除去し、見た目でエラーがない状態に修正しましょう。
その後は一旦問題を回避してから考えましょうと伝えたということだ。

次にNが持ち帰って来た回答は、現カートシステムのままで動かなくなる部分を取っ払ってくれればOKという返事だった。

私たち製作者から見ると、要は、現状のサイトで動かなくなるものを除去してくれ。まずは一旦これでOKにしようというふうに見える。

K自身も、無駄に費用を払ってもらって、どうなるかわからないEC-Cubeより、現システムの中で動かなくなるものを【一旦】外したうえで今後の展開を考えるのがモアベターだと思っていたので、一番いい選択されましたねと返答。しかる後に、一旦動かなくなるものを外して現状の見た目を極力変わらない状態にした。

今回受けた仕事はまずはここまで。その後どうしていくかは改めて仕切り直そうという話になっていた。

実は僕はKに警告していたことがある。
それは、

今回の案件、へたをすると、とりっぱぐれが起きるかもしれないぞ?

どんな理由かというと、結局いってたことと違うじゃんってエンドユーザがいってくるとお金を払ってもらえなくて結果Kの会社への振り込みがないなんて可能性があるぞと。
え?ちゃんと説明してたじゃないですか?だと?
そう、君は、Nさんに対して説明はしてるけど、Nさんが100%我々が提案した意図を伝えられていればそうだけど、Nさん本当に伝えられてるのかね?
俺はNさんとあなたのやり取りを見ていて非常に不安を覚えたぞ。まあ、もう1~2カ月もすればわかることだ。ちょっと待ってみようか。

と伝えていたのだ。

請求書

仕事をこなし、その時点ではトラブルなく、XデーのAPI停止日までに問題が起きないように修正した。
Kはもちろん、仕事をしたわけだからNの会社に向けて請求書を発行した。
この請求書を発行したのが8月のお盆前だそうだ。
8月末締めを考慮して、支払期日は9月末としておいたそうだ。

ここで問題が起きる。

振り込みがない…!

Kから私に電話がかかってきたのがここからの話だ。

先輩。
8月のあの件、覚えてます?そうそう。Nさんの。
あの件の請求書、9月末期日で発行しておいたんですよ。仕事終わってすぐに出したからお盆前です。
僕の支払期日って厳しいですか?そんなことないですよね?末締め(8月末分として)翌月末払い(9月末が支払期日)だから普通ですよね?
Nさんの会社、振込してくれなくって。。。
100万超えてるので、ちょっと痛いっす。。。かなりではないですがある程度入金がある前提で事業展開してたんで、どうしよう、、、

とのこと。

そもそも、支払いがされていないのはなぜなのか?を聞いてみた。

Nさんが言うには、エンドユーザさんと、Nさんの会社が今めっちゃ揉めてて支払いしてもらえないらしくて、だからもうちょっと待ってほしいとのことでした。
けどこれって、僕が待つ必要あるんですかね?
僕はNさんの会社と僕の会社との契約だと思っていたので、先方がNさんの会社の請求に対して支払いをするかどうかと、うちに支払うかどうかとの関係性がないような気がするんですよね。。。

と。

ちょっと難しい所ではあるが、Kのいっていることはこうだ。

Kの会社とNの会社は契約関係にあり、Kは業務の対価として金銭をNの会社に要求していて、Nは何かしらの事情で支払いを止めている。止めている理由はKが業務遂行した先のエンドユーザがごねてNの会社への支払いを止めているからということだ。
KとNの会社間でエンドユーザは関係が無いように思える。そりゃもちろんそのエンドユーザの案件だから支払いを止められていること自身がまったく関係がないとは言わない。しかし、KとNの会社間の請求と支払いの関係の中では実はあまりエンドユーザの支払いに関しては関係がないと思われる。また、何度も念を押すが、Kは、提案して了承してもらった案件を期日までに確実にこなしている。
KとNの業務遂行上、Kには瑕疵がない。

そしてNは、1週間待ってほしいと、1週間のうちにかたを付けてくると言ったそうだ。

Kには、Nさんが友人なのであればあと1週間はまってあげてもいいと思うけど、それで振り込みが無いようなら法的に訴えることを今のうちに宣言しておきなさいと言っておいた。
1万、2万の話ならそんなもん、ちょっと待ってやれよくらいの話かもしれないが、なにせ100万を超えてくる話だ。
そして、請求額、その金額で行う作業など、少なくともKとNの間では事前に合意があったのだ、Kには何の瑕疵もないと思われる。
にもかかわらずNの会社がKに振り込んでこないのは債務不履行もいいところだと思われるので、友人としてのNとの関係性を慮って、あと1週間は待ちましょう。しかしそれでも解決しない場合は第三者に入ってもらうしかない。

私はNさんを知らない立場なので粛々とそう進めるというアドバイスしかできなかった。

ITの仕事では…よくあるとか、無いとか…

Webサイトというのは手に取って触れるものではありません。
しかも、モニタ越しにしか見ることができません。
依頼してくる側から見ると、HTMLソースを見たって何のことかわからないでしょう。

写真やバナー、ボタン素材だってうなったら出てくるものではありません。撮影したりボタン素材を買ってきたり、自分たちで作ったり。。。
念じて出てくるわけではありませんから、もちろんちょっとしたものでも作れば時間がかかります。
当たり前のことです。
しかし、デジタル、ITになると捻ったら出てくるくらいに思っている人が多数います。

なので、たったこれだけなのに、こんなにかかるの?
とか、こんなもん、10分でできるんじゃないの?なんて言われることも多々あります。

そう思うのなら、やってみてくださいや

と、私ははっきり言います。
一度やってみてそれで初めてどれだけ難しくて工数のかかることを依頼していたのか、そういったことがわかるのかもしれないと思っているからです。

【やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。】

これは、山本五十六海軍元帥残した格言と言われています。
今回の件についてこの格言のどの一部分もできていないと感じました。

今回、8月にAPIが使えなくなるというXデーがありました。
なので、KはNに、まずは使えなくなることでWebサイトに出力されるエラーコードや真っ白になって見えなくなるというものをまず排除し一旦ランキングシステムを止めて排除しましょうと。
実はこのサイトは、いたるところで同じようなAPIを使っていたのでほぼ全滅でした。すべてのページのソースをいじる必要がありました。(ちなみにこのサイトを作ったのはKではなく今はもういなくなった他社が作ったものだそう)
それをソース一つ一つから動かなくなる部分を探し出し、ソースから除去し極力現状と見た目を変えないようにという作業を数百ページ分に対して行いました。
しかし、エンドユーザさんからみたら、ほとんど何も変わってないのに、こんなに請求が来るの?おかしくない?EC-Cubeも入れてくれる話でこの請求なんじゃないの?と思っているのでしょう。
そして、たぶんそれについては8月に納品した時点から言っていたと思います。
Nさんはなぜそれをちゃんとエンドユーザに説明しなかったのか、またすぐにもKに相談しなかったのか。まずはそれが1点です。

技術的には大したことはないにしても、その数が膨大だったのです。
だから自然と作業工数が膨らむ仕事で、請求にすると100万を超える工数の案件となったのです。
そして、それも、事後に言っているわけではなく、作業開始前に、工数見積もりとして金額を出しています。
Kはそれすらもかなり気を使って実際にかかった工数の半分程度しか請求していません。
結局技術的な知識がまったくない代理店の営業マンのNさんが理解できていないため、エンドユーザにも工数については伝わっていないのだろうと思われます。これが2点目です。

今後は・・・

まず私は後輩であるKに説教しました。
友人だからと言って甘いことしてるからこうなるんだぞと。金額が金額なんだから契約書をしっかり取り交わしておくべきだったな。次からは考慮しておきなさいと。

つぎに、契約書はないとはいえこれは明らかな債務不履行と感じるので、Kが待てる限界手前までは待つにしても、弁護士に相談に行くようにアドバイスした。
最後はやったやらない、払う払わないになるのは目に見えてるので、第三者に立ってもらう方がいいので最悪訴訟を視野に入れた方がいいと。
幸いにも共通の知り合いの弁護士がいるのでその方に相談しておくことをアドバイスした。

あとは、支払いがされないのであればソースを戻すことも検討するように指示。
最悪金銭を取れないのであれば原状復帰してお返しするのが筋でしょう。

Nさんがどう動くのか。。。注視しておきたいと思います

Return Top