シン・エヴァンゲリオンを見てきました。
本作で主役以外で一番重要な人物(?)となったのが主役碇シンジの父、碇ゲンドウでした。
エヴァンゲリオンという作品は何をやりたいのか
これが、25年間私たちを苦しめてきたテーマではないかと思います。
ようは、ネルフ・碇ゲンドウはいったい何をやりたいと願っているのか、ゼーレの人類補完計画を完遂するだけでは足りず、それ以上のことをしようとするのだが、旧劇場版ではシンジが途中で人の境界線がある世界を望み、破では、カヲルに止められ、Qではヴィレに止められ、いよいよシン・エヴァンゲリオンで最後の時が来るわけです。
一応ここでゲンドウの目論見はすべて露呈します。
嫁はんに一目あいたいが一心だった
私は最近、エヴァっていったいどんなお話しなの?
ときかれたらこうこたえています。
嫁はんと事故で生き別れになってしまったアラフォーのおっさんが、同級生のノーベル賞級の科学者とその娘と教授を捕まえて、神にも等しいコンピューターやら人造人間とかっていうロボットっぽいものを作らせて、そのパイロットに自分の子供をだまくらかして搭乗させて、わけわかんない生き物と戦わせながら、地球をしっちゃかめっちゃかにしてでも嫁はんと再会したいホームコメディです。
と半分冗談で言ってました。
が、そんなにはずれてなかったことがわかってしまいましたw
孤独なゲンドウは唯一心を開く頃ができたのがユイ一人であり、そのユイがいなくなったこの世界がどうしても好きになれず、そんなときに人類補完計画の延長上で、ユイに逢えるはずだと考えここに至っています。
そのためには自分が人でなくなることもいとわない、とんでもないバケモノと化します。
ネブカドネザルの鍵
TV/旧劇場版からの設定変更で大きかったことの一つが、加地がユーロから日本へ持ち込むものが変わりました。
TV/旧劇場版では卵にまで返したアダムを加地が持ち込んできて、そのアダムの卵を自分の手に埋め、自らがアダムとなることで、最後のサードインパクトの時に自分とレイがトリガーとなることを望んでいます。(レイに拒絶されBanされましたw)
新劇場版ではこのアダムがネブカドネザルの鍵というものになっており、何かはQまでで語られることはありませんでしたが今作でどんなものなのかはある程度語られます。
元々ゼーレのモノリスの電源を落とすときに一瞬見える影がネブカドネザルの鍵と同じ形をしていることと、加地が持ち込んだときにロストナンバーと言っていることを考えると、人の魂をこの鍵に内包し、人でなくなることでサードインパクトなどで、起きるヒトに対する事象から逃げおおせることができる鍵ではないかと考えられていましたが、大体そのようなものでした。
この鍵を使うと人ではなくなるようで、リツコに撃たれて脳みそをこぼすのだが、その脳みそを自らで拾い集めて自分の頭部に戻します。
もはや人でなくなったヒト→使徒に近い存在となってしまい、いよいよ目のあたりから使徒が放つ光線のようなものでヴンダーを攻撃し始めます。
そして、これも予想している人も少数でしたがいましたが、いよいよ、いよいよ、ゲンドウがエヴァに搭乗してしまいます。
ネブカドネザルの鍵を使って人外になってしまい、使徒化しているので乗れるのでしょうね。。。
ただ、事前の予想でゲンドウが搭乗するとなるとこれは、25年かけた壮大な茶番劇だと言っている人も多く、実際ゲンドウが最後の相手だとわかったときにはちょっとがっかりした面もありました。
しかし、物語の構成や終わらせにかかった庵野監督の心情を考えると、こうするしか終わらせることはできないでしょうね。。。
ということで、ユイに逢いたいがために南極のセカンドインパクトで空いたガフの扉からその向こうのマイナス宇宙に行かなければならず、そして、2本の槍以上の槍が出てこない場所で、自分がトリガーの中心になることで初めて精神世界のような場所でこそ、ユイに逢えるということで、その一心でこんな世界を作り上げここまでのことをやってきたと。。。
シンジはそれも理解しゲンドウと対峙することになります。
しかし、ゲンドウの告白を聞いていて思い出すのはシンジでしたね。
シンジの孤独、シンジのもの寂しさ、全てはゲンドウとおなじでした。
ということで、初号機が第13号機と対峙した時にまるで写し鏡と戦っているようだという表現で語られていましたね。
もっとも、エヴァというのは人間の心の写し鏡であってATフィールドで境界線を作っていくことでロボットのように見えている、使徒も同じで、そう見えているだけということを語っているのかもしれませんね。
そして最後は、、、
ゲンドウの願いは自らがトリガーとなって、ユイに逢うのが最後の願いでした。
が、それをミサトとシンジに阻まれ、トリガーは初号機となりました。
全てを悟ったゲンドウはあきらめるのですが、初号機=ユイの魂であることに気づき。そこにいたのかユイ!と。。。
てか、それ最初からわかってたでしょうよ。。。やるならTV版のシンジをサルベージしようとしたことと同じことを初号機のコアでやればよかったのに。。とか。
まあたぶんユイの魂はサルベージを拒否して出てこず、シンジを守るためにコアに居残ったと思いますからこのマイナス宇宙で無理やりでも引っ張り出さなきゃ逢えなかったんでしょうね。
なんか熟年離婚みたい。。。w
ユイは、最後はシンジ(自分の子供)を守り、初号機から放り出します。
シンジは自らがトリガーになり世界を修復(やり直すというより先に進める)覚悟を決めましたが、ユイに押し出され、ユイがトリガーとなることになります。
シンジはそれを見て母さんがやってくれるんだねという感じで悟ります。
旧劇場版の、【もう、いいの?】の問答と同じですね。
そして、シンジ・ユイは、この世界をやり直す選択ではなく先に進める選択をします。
なるほど。そして、大人になったシンジやマリが。。。とつながっていくわけですね。
ゲンドウは結局シンジのような少年がそのまま大人になった姿であり、あまり良いように終われなかった人物ですかね。。。
まあユイに逢いたいが一心でここまでのことやらかしちゃった設定になっちゃいましたから。。。仕方ないっちゃ仕方ないですけど。。。